JSAF派遣生留学体験談JSAF EXPERIENCE

上智大学外国語学部英語学科2年

  • 留学先 :University of Oxford
  • 留学時期:2016年9月~2017年6月
  • 留学期間:1学年間

大学キャンパスの設備、雰囲気

食堂やカフェ、バー、JCRなど、設備が揃っており、とても快適です。カレッジごとに雰囲気や古さが違いますが、私の所属するニューカレッジは、外観や食堂がまさにハリーポッターの世界です。カレッジの内部はとても静かで、図書館に入ると、ピリッとした空気が流れます。週末であってもいつでも、カレッジの図書館は学生で一杯で、大学は勉強する場所だったと何度も感じました。

大学のある街・治安

ロンドンなどの大都市と比べるともちろん田舎ですが、人は皆あたたかく、中世の街並みを存分に楽しむことができます。大学のための街という印象で、世界一の豊富なリソースを持つ図書館をはじめとして、著名な教授によるレクチャーや毎日のように開催されるクラシックのコンサートなど、知的好奇心にこれほど応えてくれる場所はないと思います。
ロンドンまでは、バスでは2時間ほど。バスは24時間走っているので、とても便利です。列車では、1時間ほどです。
お薦めスポットは、Christ Church Meadow (これが大学の敷地かと疑うほど、きれいで自然豊かなお庭です), Blackwell’s (見た目からは想像できないほど中の本の品揃えが豊富です), Bodleian Library(ハリーポッターの撮影で使われた部屋に、学生なら入って勉強することができます), Edamame (日本が恋しくなったらこのレストランです)です。そのほか、図書館やカフェが豊富なので、勉強しながら移動することもできます。

学生同士の交流・友人関係

フォーマルディナーやsocietyへの参加を通して、たくさんの友達ができました。皆勉強で忙しいため、そういった隙間の時間を利用して交友関係を広げていくようにしています。今学期は、特にOxford Japan Societyのイベントを通して、カラオケに行ったりご飯を食べたりしました。
他の国からの留学生や日本人学生は、OJSにもたくさんいるので、現地学生とともに交流しました。

滞在(学生寮)

シングルルームで、さらに、それぞれ課題に追われているため、自由に話す時間はなかなか取れないですが、ラウンジやキッチンなどで会えば、積極的に会話をします。自炊の時間はあまり取れませんでした。カレッジの安めの食堂を利用したり、あとは、近くのレストランで外食をすることがほとんどです。朝ごはんは、スーパーで購入したパンや牛乳などで軽く済ませます。

渡航前に日本で準備しておけば良かったこと

日本で、リスニングの練習や、日常会話のフレーズの暗記など、できる限りのことはしました。しかしやはり、学ぶ英語と本場の英語にはギャップがあると思います。特にこのプログラムでは、派遣生がほぼ全員アメリカ人なので、初めは寮での会話などで彼らのスピードについていくのが大変でした。また、私の専攻する文学で必要とされる英語力は、いわゆる単語帳の暗記のような方法でカバーすることが難しいとも言われています。日本でできる限りの準備をするのは大切ですが、こちらに来てからがむしゃらに学ぶことでしか得られないものもあります。

日本から持ってくれば良かった物

渡航前に、ネットで、「英国に持っていかなくて後悔したものリスト」のようなページをいくつか参照しました。なので私の場合、準備をしすぎてしまい、逆に要らないものも多いです(笑)。ただ1つだけ、日本語の文献でよく参照するものがあれば持っていくことをお勧めします。私の場合は文学で、もちろん課題図書は英語で書かれたものを読み進めていくわけですが、本当にきちんと理解できたのか、日本語の翻訳本で確認したい時が何度もありました。Kindle版を購入する手もありますが、まだ電子化されていないものも多く、文庫の形で注文するのではチュートリアルの1週間という期限に間に合いません。こちらで使いそうな翻訳本は日本から持っていくか、または、時間が許す限り日本で読んだ方がいいと思います。

到着後すぐに購入が必要だったもの

食料品、トイレットペーパーなどの日用品

大学のサポートセンター(ライティングセンター、チューターなど)

OSAPの事務所には、無料で印刷ができるプリンターがあります。また、過去の派遣生が残していった本でみっちりの本棚があり、基本的な文献はわざわざ購入しなくてもそこから無料で借りることもできます。私は、とても良いチューターの教授に恵まれたので、term が始まってしまえばあとは順調に慣れていくことができました。しかし中には、教授との相性がどうしても合わなかったり、ということも稀にあるようです。その辺は、事務所の方々が親身になって下さると思うので、なんでも相談してみるといいと思います。本当に気さくで、あたたかい方たちです。勉強面以外でも、寮の電球が切れてしまった、お風呂の排水が悪化した、などの場合もオフィスに問い合わせれば修理の人が比較的すぐに来てくれたりと、とても頼りになります。(ただ、私の寮はサーチャージの寮なので、かなり設備に恵まれている方です。オックスフォードは古い町なので、住居に何かしらの不調が出やすいことも確かです。勉強にしっかりと集中するためには、できるだけサーチャージの寮に入り、そのような住居の不調や修理などの悪影響を避けることが賢明かと思います)オフィスにはパソコンもあるので、部屋での作業に飽きたらオフィスで気分を一新出来ますし、気晴らしに鑑賞できるdvdが豊富に取り揃えられている部屋もあります。

オリエンテーションについて

授業開始の2週間前に現地に到着します。その2週間の間はほぼ毎日(週末はフリーですが)何かしらのオリエンテーションが開催されました。時間は様々ですが長くても1日トータルで6時間ほどでした。内容も多岐にわたり、生活上の注意などOSAPの事務所さんから受けるインストラクション、現地の医師を招いて英国の歴史や政治について受けるレクチャー、などなど豊富な内容でした。その他にもオックスフォードの市内をガイドさん付きで案内してもらえたりまた派遣生同士で友好を深め合うミニパーティーのようなイベントも何度かあり、忙しいTerm Timeが始まる前に少しリラックスしつつも充実した2週間を過ごすことができました。さらにオフィスのAdvisorの方と1対1でこれから始まるチュートリアルに関する疑問や不安、これまでの生活で困ったことはないかなど、一人あたり10分ほどの時間で相談する機会もありました。とても親身になってくださったので今後に対する漠然とした不安がとても軽くなったのを今でも感謝しています。フィードバックといえば教授を招いてのレクチャーはオックスフォードでの学びの奥深さを感じられるとともに、英国の歴史やオックスフォードという町の特徴(オックスフォードの建築のレクチャーもありました)などのまさに留学生にぴったりのイントロダクションという位置づけなど感じ、感動したことを覚えています。

学部授業

  • コース番号 :-
  • 授業タイトル:Early Modern Literature
  • 単位数   :-

チュートリアル

まず第一チュートリアルの英文学。週に1回1時間(1学期間で8回8時間)で、教授と1対1で行います。エッセイを前日までに提出した上で、教授がそれを読んだ状態でさらに議論を深めるチュートリアルもありますが(第二チュートリアルはそうです)、もう一つの方針があり、それは、書いてきたエッセイをその場で教授の前で読み上げて、そこから、議論や考察に入っていくという形式で、この教授はそのスタンスを取っていらっしゃいました。「書いてきたものを読むなんて時間の無駄では?」とも思えますが、実は全く反対なんです。自分が書いたエッセイを読み上げることで、文章に一貫性があるか、または、説得力を持って自身の主張をサポートできているのか、といったことがより明確に分かります。書いている時には見えなかったポイントがクリアになったり、読んでいるうちに自分で正しい答えを見つけてしまうことすらありました。もう一度読み上げることで、頭の中がよく整理されるということなのでしょうか。この方法は、ナルニア国物語の作者ルイスや指輪物語のトールキンといったオックスフォードの卒業生たちも実践した方法であると言われています。読み上げた後は、教授から質問を受けたり、フィードバックを頂いたり、新たな視点を提示してもらい議論を深めたりします。
例えば、7回目のチュートリアルでは、Jane AustenのNorthanger Abbey という作品を読み、それに関して自身のテーマである「分別と多感」という観点から作品分析を行い、与えられた参考文献の情報も含めながら書き上げたエッセイを、まず読み上げました。軽くフィードバックを述べた後に、教授はこの作品の中に登場したホラー小説を実際に棚から引っ張り出して、私に見せてくれました。作品の中で主人公たちが読む作品にも作者の意図が隠されていることを学びます。そして、ヒロインの持つ想像力というパワーが作品の中でmale-centred societyが女性に与える悲劇を暴くという重要な役割を果たしているのではないか、という私の主張をより強固にするためのヒントをたくさん提示して頂きました。家というのは、女性のdomesticな領域の象徴であり、タイトルのAbbeyという言葉は、”ruined mother(夫によって破滅させられる一家の母親)”の象徴であるという大変興味深い視点を与えて下さいました。このように、エッセイからスタートして、最後にはより複合的、多面的視点からそのテーマや作品を理解することができます。
また、さらに議論を深めるために読むと良い本を毎回幾つか教えて頂きます。(vacationの期間にできる限り読みたいと思います)エッセイを書く事はもちろん大変です。エッセイは最低1500字で、文学ですと、基本は1週間に1作品(300〜500ページ)を分析し、それに関わる最低2冊ほどの参考文献(全てを読むわけではないですが、最低100ページほどは読みます)の内容を織り交ぜねばなりません。分からない単語を辞書で調べる必要もありますし、文学の場合はただ読むだけでなく、ある視点から念入りに分析を行いながら読むので、ちゃんと取り組もうとすればするほど時間がかかります。さらにエッセイを書くとなると、ただ理解しただけでは足りず、論理的に自身の主張をサポートできるレベルまで到達せねばなりません。大変ですが、そこまでself studyを行った後だからこそ、教授のアドバイスがより生きてきますし、それを繰り返していくうちに、社会に出てから本当に必要なマネジメント能力、さらに、課題を自ら発見して自らの力で答えや面白さを探求していくタフで能動的な姿勢が身につくと感じました。

授業を通して学んだこと(授業内容)

Jane Austenをはじめとして、early modernの作家たちが、時代の大きなうねりの中で、senseとsensibility(分別と多感)をどのように捉え、作品にそれがどのように反映されているのかを学びました。自身で行うセルフスタディーに加え、チュートリアルの密度の濃い1時間で得られる背景知識や議論の展開によって、幅広いコンテクストからearly modern という時代を理解することができました。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

上記の通り英語力や課題の量に関して大変なことはありましたが、それは慣れてくれば大丈夫でした。教授もとても良い方で、私の留学生としての立場をよく理解し、サポートして下さいました。8回全てのチュートリアルの1つ1つが、忘れられないとても深い学びとして私の中に染み付いたという感じです。

学部授業

  • コース番号 :-
  • 授業タイトル:Early Modern Music
  • 単位数   :-

チュートリアル

音楽についてははsecondary tutorialなので、回数としては1学期間で計4回の4時間となります。チューターの先生は、教授ではないですが、オックスフォードの音楽学部に所属する学者で、幾つかのオーケストラの指揮者も担当する先生です。オケでの経験や知識をもとに議論を深めて下さるので、同じくオケに所属してきた私にとっては自身の経験と結びつくような内容も多く、とても楽しいです。全て印象に残っていますが、初回のチュートリアルでは、ヘンデルという音楽家が、ミルトンという17世紀の大詩人の作品を音楽にadaptationしている例を取り扱いました。
私の文学のテーマは「分別と多感」ですが、ミルトンの詩にもそれに近いコントラストが描かれているんです。その詩を音楽という形で表現しようとしたヘンデルも同様に、彼の音楽の中でそのコントラストを忠実に再現しようとしています。さらに、教授はこの対照に対し、ニーチェという哲学家の思想という枠組みからもアプローチしてみることを提案して下さいました。授業ベースの日本では、ここまで自分の興味を追求することができるでしょうか。オックスフォードではまず、自身の疑問からスタートします。私の場合は、early modernの文学と音楽の中における「分別と多感」についてです。文学と音楽それぞれの分野で、ここまで高いレベルの議論ができることはもちろん素晴らしいですが、さらに、音楽というチュートリアルの中でも、文学とのintersectionという私の興味をチューターがきちんと汲んで下さり、interdisciplinaryなリサーチが出来ることは、本当に贅沢だと感じます。幅広く、かつ世界トップクラスのレベルを誇る学科の存在、そして、世界の学術機関で発表されたほぼ全てのジャーナルや文献にアクセスできるボドリアン図書館という財産が、私の研究をとても有意義なものにしてくれています。

授業を通して学んだこと(授業内容)

Austenの時代の音楽は、当時の社会や生活とどのように関連しているのか、また、文学と同じく、senseとsensibilityという観点から音楽を見ると何が分かるか、といった視点から、early modern musicの特徴を捉えていきます。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

こちらの先生も、私の留学生としての大変さをよく理解して下さり、スペルを親切に教えて下さったりと、きめ細やかな指導をして下さいました。課題はもちろん楽ではないですが、特に音楽というテーマは国境を越える力があるので、ディスカッションもとても楽しくすることができました。

申込から出発までのJSAFによる英語勉強サポート

はい。特に、他の派遣生の方たちとグループになって活動したり、彼らのスピーチを聞いたりしたことは、とても良い刺激になりました。

語学力について

留学開始当初と比べ外国語力はどのくらいついたと感じますか?

もともと英語学科在籍で、授業や課題は英語が当たり前という環境にいたので、基礎基本の部分で困ることはありませんでした。しかし、チュートリアルの課題が出されると、それを時間内にこなすハイレベルなリーディング力の不足に気がつき、初めは苦労しました。また、教授と1対1で1時間会話をするのも、初めは話しているうちに言葉に詰まることも多かったです。さらに、1週間に3000字のエッセイ(2チュートリアルの週の場合)では、時間内にスピード感を持って書き上げる必要があり、その上寮ではアメリカ人の話す速い英会話についていかなければならない、といった環境で、初めは全てがむしゃらでした。しかし、ここまで追い込まれたことで、4技能全ての能力が飛躍的にバランス良く高まったと感じます。それは、課題をこなすスピードにもあらわれていますし、チューターの教授に課題の質や成長を褒めていただけたことからも、そう感じます。

語学力上達のために、工夫したこと、努力したこと

リスニング

●苦労した点
ネイティブの話す英語の速さです。チュートリアルでは、academicならではの難しい英単語も使われるので、それも不安材料でした。
●工夫した点
できるだけ授業に参加したり、フラットメイトと話したり、英語を聞く時間を増やしました。また、チュートリアルは全て録音し、家で聞き返して分からない単語を調べたりしています。

リーディング

●苦労した点
量が多く、単語も難しい点。
●工夫した点
とにかくがむしゃらにやれば、ある程度読むスピードは上がります。(そうでないと課題が終わらないという窮地に立たされると)あとは、できるだけ効率良く読むことが大事だと気付きました。最初から、エッセイでのクエスチョンを想定して的を絞って読んだり、いわゆるパラグラフリーディングも効果は大きかったです。

ライティング

●苦労した点
書くスピードです。
●工夫した点
時間の制限を厳しく取り組みました。そうすることで、書くスピードもかなり上がったと思います。また、できるだけ新しく学んだ単語をエッセイに取り入れて使うようにしました。

スピーキング

●苦労した点
寮での会話もそうですし、一番はチュートリアルでのディスカッションで、言いたいことを英語にするのが難しかったり、表現するのに必要な単語を知らなかったりで、苦労しました。
●工夫した点
部屋に1人でいる時も、独り言を英語にしたり、スーパーなどで買い物をしている時に、「こんな時なんて言うんだろう?」という疑問が湧いたら携帯にメモをして、家に帰ったら単語を調べたりします。チュートリアルのスピーキングに関しては、エッセイを書くスキルが上がるにつれて改善していった気がします。これは偶然ではなく、話す時に、コンピューターに文字を打ち込むのと同じ感覚を持てたからであり、オックスフォードが重視する「書く力」がそのまま他の力にもつながっていることを裏付けていると思います。