青山学院大学総合文化政策学部総合文化政策学科2年

  • 留学先 :Cornell University
  • 留学時期:2016年9月~2017年5月
  • 留学期間:1学年間

大学キャンパスの設備、雰囲気

「全米一美しいキャンパス」と言われるコーネル大学。キャンパスのどこを切り取っても絵になる、本当にため息が出るほど美しいキャンパスです。図書館も20箇所あり、中には24時間空いている図書館もあり、勉強する環境は十分に整っていると思います。また、ライティングセンターや教授・TAのオフィスも気軽に訪れることができるので学生に対するサポートはとても充実していると思います。

大学のある街・治安

ューヨーク州にありながら、”middle of nowhere”と言われるほどの田舎です。NYCとはバスで約5時間かかるほど離れており、特に学生が遊べるような場所はあまりありませんが、大学の近くにはCollegetownという小さなダウンタウンがあり、スーパーや喫茶店、郵便局、銀行ATM、そしてアジアンフードを売っている店など、生活に必要なものは不自由なく揃えることのできる環境にあります。ただ、店そのものの数が少ないため競争が少ないからかもしれませんが、物価が非常に高いです。また、治安もとてもいいです。Blue Lightというセキュリティーサービスがあり、帰宅が夜中になってしまった場合にエスコートしてくれるので安心です。

Collegetownは大学から徒歩3分という好立地にあります。大学から少し離れたところにあるダウンタウンやモール、そしてNYCまで行きたい時はTCATというコーネルの学生なら無料で乗れるバスを利用することができます。

North Campusが見渡せる丘です。どこまでも広がる大地を見渡すことができ、「空が横にある」という不思議な感覚を感じさせてくれます。(それくらい大地が広いです)
 
イサカはいわゆる “The New York”と言った都会らしさはありませんが、ニューヨークに位置しながら大自然を感じることができる、という最大の魅力を持っていると思います。

学生同士の交流・友人関係

現地の学生:授業、課外活動を通してたくさんの学生と仲良くなることができました。人種も様々で、アメリカ人をはじめ、中国、韓国といったアジア人学生とも仲良くしています。
 
他の国からの留学生:いわゆる「交換留学生」はあまりいないようで、中国人の知り合いが一人いるだけです。アメリカ人以外の正規の学生では中国人、韓国人の友人が多く、仲良くしています。その他ヨーロッパやアフリカ、中南米の学生の多くとはprepare programがきっかけで知り合いました。
 
日本人:コーネルに在籍する日本人学生のほとんどと知り合うことができました。JUSA(Japan US Association)というサークルを通して知り合った人が多いですが、たまたま授業で話しかけたクラスメイトが実はアメリカ人と日本人のハーフだった、ということもありました。

留学を通して身に付いた、成長したと感じる点

周りに流されない、勉強を楽しむ、ということです。世界トップクラスの名門校であるコーネルでは、どこの国で教育を受けてこようとここにいる以上は「英語がネイティブレベルに喋れて当たり前」という前提があります。留学生を歓迎してくれる国際交流サークルのような体制は全く整っておらず、結果、留学生である私は、英語もままならない、頭もそんなに良くない、「ただの東洋人」で終わってしまうのが本当に辛かったし、自分の無力さに何度も落ち込みました。留学前に思い描いていた、「あれもやらなきゃ、これもやらなきゃ」という理想が「あれもできていない、これもできていない」という現実に変わっていくのが本当に情けなくて、自分のキャパってこんなに小さかったっけ?と思うたび苦しくなりました。
そんな中、泣きながら母親に電話をしたとき「自分を認めてあげなさい」と言われ、「できてない」ことにばかり注目するのではなく、この過酷な状況でも毎日ちゃんと学校に行けていること、授業も休まず出席していること、課題もそれなりにこなしていけていること、など「できていること」に注目してみると同時に、「できている自分」も「できてない自分」も同時に認め、ほめてあげることの大切さを学びました。また、勉強に関しては、「これってどういう仕組みになっているんだろう」「この理論の裏側にはどういう根拠があるんだろう」という風に知的好奇心を持つことで少しずつはかどるようになり、フラストレーションを感じる頻度も少なくなっていきました。周りに流されず、自分のペースで勉強を楽しみながらすること、どんな自分も認めてあげることの大切さを体感しました。

留学を通しての現在の想い

この一年間、本当にいろんな挫折も経験したし、いろんな場面でフラストレーションも抱えたし、正直「留学楽しい!最高」と言えるような、常に楽しさに満ちたものではなく、留学ってこんなに地味で辛いものなんだなと思ってしまうことも多々あるほど、試練の一年間でした。でも、そんな試練の一年間を過ごしたお陰で、日本で楽しく大学生活を送っているだけではフォーカスすることもなかったような、今後の人生で一つの指針となるようなことにじっくりと向き合う時間を取ることができました。世界トップクラスの名門校に一年間身を投じたことは、勉強面でも精神面でも自分を成長させてくれた、本当に貴重な経験です。

今後の進路、目標について

留学前は、ジャーナリズムの分野に進もうと考えていましたが、留学中に勉強したことによって自分には向いていないのかもしれないなと感じました。
自分は何をしている時に一番楽しいと感じているのだろうと何ヶ月も考え続けてみた結果、「自分の考えや個性を誰かと共有する」瞬間だなと気づき、高校生の頃の夢だった通訳の仕事がしたいという気持ちがいっそう強くなりました。帰国後は通訳養成学校へ通い、卒業後は通訳として、少しでも多くの人が自分の意見や考え、個性を国境を越えて共有できるための手助けができればいいなと思っています。

同じ大学へ留学する後輩へのメッセージ、知っておいたほうが良いこと

コーネルは、世界トップクラスの優秀な生徒たちが、知識の面で「協力」ではなく「競争」し合っている場所だという印象を受けました。その分、とても刺激を受けますが、「自分は自分」だという気持ちはしっかり持って、周りに流されないように頑張ってください。
 

JSAFへのメッセージ

私の場合は日本の所属大学の協定校留学先に世界トップレベルの大学がなかったため、JSAFの存在を知らなければ私の中学校からの夢であったアイビーリーグ留学は叶わなかったと思います。「自分の行きたい留学先に留学する」ことができるのはとても幸せなことで、それをサポートしてくださったJSAFの皆様には感謝の気持ちでいっぱいです。
自分の留学したい留学先がまだJSAFと協定を結んでいない、という場合には、その大学と協定を結んでもらうようにお願いすることができるというのもJSAFの最大の魅力だと思います。もっと多くの大学生の皆さんにJSAFの存在を知ってもらいたいです。

プログラム費以外でかかった費用目安

生活費月700ドル
航空券代25万円前後
現地旅行費用40万円程度
教材費400$程度

渡航前に日本で準備しておけば良かったこと

英語のリスニング、スピーキング力(レクチャーよりも会話力)
履修登録に時間がかかったので、履修したい授業をより明確にしておけば良かった

日本から持ってくれば良かった物

カイロ、冷えピタ、目薬

到着後すぐに購入が必要だったもの

寝具、食器類、浄水器

学生生活

1週間のおおまかなスケジュール

平日は、授業後には基本的に毎日図書館で勉強していました。休日も自宅アパートや、自習室、学校の図書館で勉強し、時間に余裕が出来れば友達と遊んだり、ジムで体を動かしたりしていました。

大学のサポートセンター(ライティングセンター、チューターなど)

前期も後期もエッセーの課題が多かったため、ライティングセンターはよく利用していました。ただ、文法のミスなどは直してくれましたが、基本的な構成までじっくり見てくれるというわけはありませんでした。  

一番の息抜きの方法

YouTubeで動画を見たり、Netflixで海外ドラマや映画を見たりしていました。英語の学習にもなるのでオススメです。

日本の家族、友人との連絡頻度

家族とは一週間に一回から二回程度連絡を取っていました。友達は二週間に一回くらいです。LINEを使用していました。
 

学部授業

  • コース番号 :VISST 2000
  • 授業タイトル:Introduction to Visual Studies
  • 単位数   :4単位

評価のつけ方(テストの種類、回数、評価の割合など)とそれぞれの結果(点数、グレードなど)

中間試験、小レポート、クイズ、期末レポート、期末試験

授業を通して学んだこと(授業内容)

人が物を見るとき、どのように認識するのか、生物学、哲学、芸術と多岐にわたる視点から学ぶ授業でした。期末レポートは個人でテーマを決め、visual studiesの授業で学んだことと関連付けながら論じるというものです。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

「人が物を見ること」について、様々な観点から学習するというのはとても面白かったのですが、学習する分野が広がる分、認識が曖昧になってしまうというのが一番のウィークポイントで、克服がとても難しかったです。またリーディングの量が非常に多く、次の授業までに100ページ以上、というようなことも頻繁にあったため、他の授業との両立も難しかったです。今書いている期末レポートでは、「プロパガンダポスター」をテーマに、プロパガンダポスターは大衆の心理にどのように働くのか、また人は戦争や平和についてどのようなVisual Imageを持っているのかについてまとめています。

学部授業

  • コース番号 :PE 1332
  • 授業タイトル:Beginning Snowboarding
  • 単位数   :1単位

授業を通して学んだこと(授業内容)

Cornellの体育は面白いという情報を在学生の友達の多くから聞いたため、履修を決めました。Greek Peakというキャンパスの近くにあるスキー場でインストラクターに教えてもらうという授業でした。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

冬ではマイナス20度以下に気温が下がるイサカではウィンタースポーツがとても盛んで、中でもCornellのスキー・スノボーはとても人気が高いと聞いたので履修を決めました。この授業を通して友達が増え、交友関係が広がったことがとても良かったです。また、1人のインストラクターにつき5人程度という少人数制のおかげで、スノーボードの上達も早かったと思います。

学部授業

  • コース番号 :WRIT 1380
  • 授業タイトル:Element of Academic Writing: Theories of Happiness
  • 単位数   :-

授業形式(レクチャー・セミナー・ラボなど)

セミナー

評価のつけ方(テストの種類、回数、評価の割合など)とそれぞれの結果(点数、グレードなど)

メインのエッセー課題が5回、レポート課題がランダムに出されたほか、ディスカッションが隔週であったのと、期末にプレゼンテーションがありました。

授業を通して学んだこと(授業内容)

幸福について、主に心理学的側面から論文のリーディングやディスカッションを通して理解を深め、アカデミックエッセーを書くという授業でした。また、ディスカッションについては、一人ずつ「ディスカッションリーダー」を務めなければいけませんでした。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

少人数の授業だったため、ディスカッションでの積極的な発言が求められていました。また、エッセーの課題がたくさん出たことから、ライティング力が向上したように思います。最終課題では、自らテーマを設定し、引用する論文を決め、A4 8枚程度のエッセーを書くというものと、その内容に関するプレゼンテーションで、今取り掛かっている最中です。

学部授業

  • コース番号 :HD2800
  • 授業タイトル:Cultural Psychology
  • 単位数   :3単位

授業を通して学んだこと(授業内容)

文化心理学の内容を様々な観点から学びました。

全体を振り返って、苦労したこと、楽しかったこと、その他感想など

授業は非常にわかりやすく、TAのサポートもとても良かったです。宿題はそこまでハードではありませんでしたが、試験は論述形式と選択問題で比較的難しかったです。期末試験期間のグループワークでは、4人のグループでテーマを決めて、ポスターにまとめるというもので、今取り掛かっている最中です。

授業の課題の中で、特にがんばったもの、自信作

エッセイ・ペーパー
科目名:AMST4035 The Postmodern Presidency: Election 2016
題材:Autopsy of the 2016 United States Presidential Election
内容:2016年のアメリカ大統領選挙について、「恐怖」という観点から世論を分析し、トランプ候補の勝因は何だったのか論じました。
大変だったこと、やり遂げての感想:英語で20枚以上のレポートを書くのは初めてだったので、構成、引用する著書、データなど全てにおいて苦労しましたが、ライティングセンターや教授のサポートのおかげで無事仕上げることができました。

プレゼンテーション

科目名:COMM 3189 Taking America’s Pulse 
題材: Bias in the American Vote
内容: 2016年11月に行われたアメリカ大統領選挙について、電話で世論調査を行い、結果をポスターにまとめてプレゼンテーションをしました。
大変だったこと、やり遂げての感想:
クリントン候補がアメリカ発の女性大統領になるのでは?と世論を騒がせていたことから、「アメリカ国民は、女性が候補者になることは政府の仕事での成功につながると考えているかどうか」「あなたは女性が候補者になることは政府の仕事での成功につながると考えているかどうか」という二つの質問に対する世論調査での回答を分析し、考察を加えてまとめました。世論調査の段階からとても大変で、ハードでしたが、タイムリーな内容だったので、この時期にこの授業を履修してよかったなと思いました。プレゼン後はとても達成感を感じました。

学部授業を総括して、日本の授業と違う点、留学先国の授業の特色、自分が感じたこと

グループワークやプレゼンテーションなど実践的な授業が多く、生徒が受け身になって聞くだけのレクチャーはほとんどないという印象を受けました。常に自分の意見を持ち、それをどのように他人に伝えるか、という力を試されているなと感じました。

語学力について

留学開始当初と比べ外国語力はどのくらいついたと感じますか?

一番向上したと思うのはリスニングです。授業や友達との会話など、一番機会が多いのがリスニングだからだと思います。スピーキングに関しては、現地の友人との会話を通してスラングなど、ネイティブ特有の言い回しをたくさん知ることができたので、わからない時は意味を調べつつ、なるべく自分も使うように心がけています。
また、ライティング、リーディングの機会もたくさんあったため、英語力は全体的に向上したと思います。

語学力上達のために、工夫したこと、努力したこと

リスニング

●苦労した点 授業などのフォーマルな英語は聞き取りやすいのですが、友人同士の会話を聞くのに苦戦しました。
●工夫した点 アメリカンコメディ「Young and Hungry」を観て会話のリスニング練習をしました。また、友人と積極的に会話することを心がけました。 ent

リーディング

●苦労した点 初めはわからない単語をいちいち調べていたため、時間が異常に長くかかって挫折、という悪循環に陥ってしまっていました。
 
●工夫した点 どうしてもわからないと文脈が理解できない単語だけを調べて、8割程度理解したら次へ進む。一回で完璧に理解しようとするのではなく、繰り返し読むことで理解を深めていく、というプロセスに切り替えました Table 3

ライティング

●苦労した点 ネイティブが書くレベルになかなか到達できず悩みました。どうしてもネイティブが書いたものとは程遠く、「留学生が頑張って書いた文章」からなかなか抜け出せずにいました。
 
●工夫した点 ライティングセンターに頻繁に通って添削してもらったほか、上手に書けているサンプルエッセーや新聞記事をネット上で探して、ひたすら手書きで書き写しました。そうすることで、ネイティブ特有の表現を取り入れ、自分のライティングの精度を高めることができました。 Color

スピーキング

●苦労した点 ディスカッションなど、複数の学生の話を聞きつつ自分の意見を言う、というのに苦労しました。「聞くだけ」「話すだけ」という一方的なものではなく、話の流れをくみ取りつつ、その話の流れに沿った意見を言うことに苦労しました。
●工夫した点 YouTubeなどの動画サイトで英語ディスカッションの動画を観て、意見を言うタイミングを練習しました。あとは実際にディスカッションの回数を重ねることで現場慣れしていきました。 iorit

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