保護者並びにご家族の皆様へ To parents and families

この度は、JSAF語学留学・学部留学プログラムへ、お問い合わせいただきありがとうございます。こちらは、現在留学を控えている方またはご検討中の保護者の皆さまに、留学に送り出す立場として理解していただきたいことをお知らせいたします。

留学をさせるにあたって

現代では、SNSやインターネットの普及により、海外もより身近に感じられる時代となりました。それに伴い、留学希望者も増え、また日本社会も海外経験を備えたグローバル人材を求めている今、世界で通じるコミュニケーション力が問われます。日本経済団体連合会の調査では、グローバル人材に求める素質・能力として、上位5項目として下記能力が挙げられています。

・海外との社会・文化、価値観の差に興味・関心を持ち、柔軟に対応する姿勢
・既成概念にとらわれず、チャレンジ精神を持ち続ける
・英語を初め外国語によるコミュニケーション能力を有する
・グローバルな視点と国政、文化、価値観、宗教などの差を踏まえたマネジメント能力
・企業の発展のために、逆境に耐え、粘り強く取り組む
 参考:日本経済団体連合会 「グローバル人材の育成・活用に向けて求められる取り組みに関するアンケート結果」より

以上のような資質を持つには、「留学」はまさに絶好の機会と言えるでしょう。「留学」は、日本を飛び出し、世界各国の留学生との交流を元に、語学力以上の学びを得られる非常に貴重な機会です。今までとは全く違う環境で挑戦するということは、より成長できるチャンスですが、同時に予想外の出来事、日本では当たり前だったことが当たり前でない事実に直面する機会でもあります。様々なニュースが飛び交う中、保護者の皆さまの心配は尽きないことと思いますが、それでも留学する本人の成長・自立をする機会を最大限活かすためには、留学当事者だけでなく、それをサポートする保護者の対応も非常に重要です。

その1 留学準備段階において

JSAFでは、主に日本の大学生を対象とした語学研修・語学留学プログラムをご紹介しています。JSAF派遣生には、未成年者の場合は、必ず保護者の署名・捺印が必要ですが、お申込から帰国までを通じて、留学手続き、学業や生活面に関することは、ご本人と直接連絡を取り合います。各事項の決定や変更について、緊急時を除き、その都度JSAFから保護者(保証人)へご連絡することはありません。

留学されるご本人が責任をもって、JSAFと連絡・相談の上、保護者(保証人)の方にご説明頂いております。ただし、派遣生の安全にかかわる緊急時や学業不良などJSAFが必要と判断した場合には、ご本人に事前通知することなく、保護者(保証人)へ連絡、報告をする場合がありますのでご了承ください。

現地での授業や滞在、友人関係など、現地で直面するのであろう様々な問題に対応するのは、留学をする本人です。滞在中もJSAFよりアドバイス・サポート等も行なっておりますが、まずはご自身 で準備されている対応方法に従って行動に移す必要があります。特に海外では、大学生は一大人として扱われ、「基本的に自分のことは自分でする」というのが一般的であり、それが自己解決力となります。

その2 留学中の留学当事者と保護者の距離感について

病気や怪我など緊急時に備えて、ご本人と常に連絡が取れる状態を保って頂くのは非常に大切ですが、最近では、ソーシャルネットワークの普及により、留学開始後も、日本にいる時と同じように、毎日ご実家と連絡を取り合う方も見られるようになりました。

特にLINEなどのネットツールは、操作も手軽で、迅速にコミュニケーションを取ることができます。ただ、それらに頼り過ぎてしまうと、現地滞在中も日本語の環境から抜け出せず思いのほか英語力が伸びない、日本の友達や親御さんとの連絡に時間を取られるあまり、現地のお友達がなかなか増えない、自立のチャンスを逃してしまうなど、問題もたくさん出てきます。また一方で、保護者側としても、「返信がすぐ来ないので、心配になった。何か、悪いことが起こっているのでは?」 「ホームシックで、泣いているとのラインがきた。」といった場合、あまりにも過剰に反応してしまうと、留学中の本人が自ら解決する機会を奪ってしまうこともあります。

留学先と日本では時差も大きく、外国語を使うという慣れない環境です。日本語での通信により、現地に順応する前にホームシックを引き起こすこともあります。定期的にEメール等で近況報告を行って頂くことは重要ですが、過度の干渉により現地の生活ペースが乱れてしまう恐れもあります。

JSAFでは、より素晴らしい留学体験をしていただくため、派遣生の皆さまには、留学中はなるべく日本語を使わず、現地の生活に溶け込み、ネットワークを築いていくようお伝えしています。今まで育った価値観とは違う社会で試行錯誤を繰り返しながら苦労されることも多々あるかと思いますが、それらを乗り越えて成長していくことに留学生活の大変貴重な意義があります。保護者(保証人)の皆さまにもこの点ご理解頂き、留学中には適度な連絡をお願いいたします。なお、JSAFでは、現地滞在中の派遣生に対して、手紙または日記を書くことを推奨しています。文字に起こすことで、冷静に物事を考えることができます。また、長く保存することができ、帰国後、自分自身の留学を振り返ることができます。

その3 柔軟性(Flexibility)

日本では、比較的、物事が予定通り進みますが、留学生活では思い通りにならないことが多々あります。しかし、その都度状況のせいするのではなく、与えられた環境でどうよりよい状況にしていくか、自分から行動を起こしていくことこそ、留学で求められる柔軟性と言えます。「郷に入っては郷に従え」という言葉があるように、ある程度余裕をもって、現地の文化に馴染んでいく必要があります。こういった予想外の出来事に直面した時に、留学しているご本人 は不安を感じたり、時にはホームシックになることがあります。保護者の皆さまの支えが必要ですが、過剰反応は逆にご本人の現地生活に馴染む機会の妨げにもなりかねないため、冷静に現実を見極めることが大切です。

その4 勉強面について

海外の授業形式は、日本のそれとはまったく異なります。海外では学生からの発言・質問から授業が展開していく傾向が強く、予習・復習はもちろん、授業に対する取り組み・発言など、様々な要素から評価されます。また、相手に自分を理解してもらうような自己表現力も求められます。ただ、教授の話を聞いて席に座っているだけでは、語学力向上や異文化理解にはつながりません。積極性を持って取り組むことが求められるため、授業に対する姿勢を大幅に変える必要があります。


①  授業の評価基準

出席だけでなく、授業中での発言、課題、テスト結果などを元に評価をされます。また、80%以上の成績を修められなかった場合は、口頭ならびに書面でのWarning(警告)を受けることになります。病欠などやむを得ない事情を除き、Warningを受け改善が見られなかった場合は、Termination Notice(退学通知)となり、留学を続けることができなくなります。(なお、怪我・病気などで学校を休む場合は、必ず大学スタッフまたは教授に欠席する旨、連絡する必要があります。)
このような状態にならないように、予習・復習はもちろん、例えばテスト結果が思わしくなかった場合は、そのままにせず、教授にお願いして、追加課題などを出してもらい成績に加味してもらえないかどうかといった相談が必要不可欠です。日本では教授に交渉をするということはあまりありませんが、海外では一般的なことです。

②  授業中での注意点
外国語での授業は、どんな方でも戸惑いがあります。しかし、分からないからと言って、終始黙っているというのは一番避けなければなりません。上記でも述べた通り、評価基準は出席だけでなく、どのように授業に参加しているか、貢献しているかという積極性を見られます。分からないことがあれば、手をあげ、教授に質問するようにしましょう。授業中での質問が難しいのであれば、授業後または放課後(Office Hour)に教授に聞きに行くことも必要です(事前にアポを取る必要がある場合もあります)。「教授の話すスピードが速いからわからない」「発音に癖があって聞きづらいからわからない」といった理由でついていけない、成績が落ちたということは通用しません。分かるまで自分なりに働きかけることが必要です。

③  履修登録について
履修登録は、必ずしも希望科目が取れるとは限りません。通常、在校生が事前履修登録をしており、サイト上ではほとんどのクラスが定員に達しているケースがあります。また、特定の科目を履修するにはそれに関する基礎科目の履修が必須(prerequisite)の場合は、空きがあったとしても履修できません。しかし、定員でいっぱいのため履修登録ができない場合や日本で関連科目を履修していた場合は、担当教授に直接交渉し、1年間または1学期間のみの留学生ということで特別に許可をもらえる場合がありますので、積極的に教授に相談することが重要です。なお、日本の大学に単位移行が必要な派遣生は、事前に所属大学学事課に単位移行条件をご自身で確認が必要です。

また、履修登録後、クラスの追加・削除(Add/Drop)を行なう場合は、必ず派遣先大学のスケジュールに沿って行う必要があります。期日までに行わないと、履修ができないまたはキャンセル費が発生する場合があります。スケジュールの確認は派遣生自身の自己責任となります。

④  語学力対策
海外に行けば自然と語学力が向上するということはありません。ほとんどのJSAF派遣生が、「留学前にもっと語学を伸ばしておけばよかった」というフィードバックをしています。留学先を決め、本格的な準備を始めると、どうしても必要書類の準備などに集中しがちですが、毎日英語を聞く、単語を覚える、文法を確認する、といった地道な努力は常に必要です。これは留学中も同じことが言えます。授業をただ受けているだけでは、語学力向上には結びつきません。授業中で覚えたばかりのフレーズをすぐに友人との会話で使ってみる、分からない単語・フレーズがあれば意味を確認する・覚えるといった取り組みが土台があって、はじめて語学力は伸びていきます。

その5 滞在について

留学の滞在方法と言えば、主にホームステイまたは寮滞在が上げられます。なお学部履修の場合、オーストラリアを除き、派遣生は大学寮または大学管轄内の学生アパートメントに滞在します(最初の学期が語学研修の場合、ホームステイを選択できる大学もあります)。それぞれの特徴をしっかり把握しておくことで、思わぬ誤解を生じないことに つながります。

①   ホームステイについて
ホームステイとは、滞在費と食費を支払う形のペイドホームステイとなります。特に語学研修・語学留学の場合は、主に留学生との交流がメインとなるため、 現地の家族と暮らすことでの文化・習慣を肌で感じながら異文化交流をする機会となり、人気のある滞在方法の1つです。しかし、ホームステイはホテル滞在ではありません。何から何までお世話をしてくれるわけではなく、自分でやれることは自分で行うのが基本です。例えば、学校への通学、洗濯、朝・昼ごはんの準備などは、ホストファミリーに教えてもらいながら、自分たちで行っていきます。また、中・高校生のホームステイでは、週末にどこか連れていってくれるなど、学校がない日でも様々なアレンジをしてくれますが、大学生(18歳以上)は自立した大人として対応されるため、必要以上にプライベートに干渉してくることはなく、放課後や週末はご自身で予定を立てることになります。


ホームステイ先の選定について

ホームステイは、各大学にいるホームステイコーディネーターまたは学校から依頼されたホームステイ選定機関より、 学生の健康面や生活面を踏まえた中でホームステイ先を決めてくれます。アレルギーといった健康上のリクエストは出すことができますが、それ以外の個人的な要望(例:学校から近いホームステイ、同世代の学生がいる家庭)は、基本的に出すことはできません。


ホームステイ先の変更は可能か。

理由に応じて変更 は可能ですが、すぐに移動ができるとは限りません。変更希望の場合は、移動する2~4週間前 の申請が必要など、各大学・ホームステイ先の 規約に従って変更手続を取ります。しかし、性格が合わないなどという個人的な理由の場合は、一度ホストファミリーまたはホームステイコーディネーターと相談をし、状況を改善できないかどうか方法を探します。一方で、食事がでない、契約条件と違う(一人部屋の予定が二人部屋など)など、元々の規定に反している場合は、現地に詳細を確認したのち、規約に沿って変更手続きを取ります。

ホームステイ先での注意点
お互いに全く異なる文化で生活をしてきているため、意見・疑問点は、その都度確認が必要です。「日本ならこうなのに」「日本だったらこれは当たり前」という日本を尺度にした考え方ではなく、「なぜこうなっているのか」「これはどういうことなのか」、常に考えることが必要です。ホームステイのトラブルの多くが、ミスコミュニケーションによるものです。勇気を出して相談してみたら、すぐに 解決したということはよくあります。どうしてもうまく伝えられないという時には、各大学にいるホームステイコーディネーター、ホームステイ選定機関スタッフまたはJSAFまでご相談ください。ホームステイ先から出るという場合も、必ず前もって相談をし、各大学のホームステイコーディネーターまたはホームステイ選定機関スタッフの指示に従い、所定の手続きを行った上で移動します。
 
②  寮滞在について
滞在する寮によって、設備は様々ですが、一般的には2人1部屋で、部屋にはベッド、机、クローゼットなどが備え付けられており、バス・トイレは共有となります。寮によっては、ミールプランがついている場合もありますが、ない場合は自炊となります。また、新学期の時期は出発ぎりぎりまでルームナンバーやルームメイトの詳細が発表されない場合があります。


1.ルームメイトについて

特定のルームメイトをリクエストすることはできません。また、ルームメイトは必ず同性 となりますが、 男女平等法により、今は単一の寮はつくることができなくなっているため、フロアごとに男女で分かれている寮 と、フロアで分かれていない寮があります。また、ルームメイトと必ずしも最初から良い関係を築けるとは限りません。基本的には他人との共同生活のため、戸惑いを感じたり、行き違いが生じることは当たり前です。自分の価値観を押し付けることはせず、相手の文化を尊重して理解しようとする姿勢が必要です。

2.ルームメイトとのルールの設定
海外の寮生活では、お互いに相談し合ってルールを設定するのが一般的です。ルールは、お部屋の掃除やお友達を呼ぶ時間帯などをカバーします。なお、その他の滞在方法としてシェアハウスがありますが、JSAFでは、大学管理外のアパート滞在は禁止しております。これは、犯罪に巻き込まれる危険性が高まる/成績が下がる傾向にある/また個人契約となるため、何かトラブルが生じた場合JSAFでのサポートができなくなる、といった理由が上げられます。実際に過去の例として、英語での直接契約によりトラブルに巻き込まれたケースも報告されています(例えば:家賃や契約期間の内容を理解せずにサインをしてしまい過剰な請求を受けた、突然契約を切られてしまい滞在する場所がなくなってしまった、同居人同士で光熱費などの支払いからトラブルになった等)。

その6 安全性について

人通りの少ない道は避ける、または夜遅い時間に出歩かないという注意はどの国・地域でも必要ですが、JSAF留学プログラムでは、大学のサポート面や安全面を考慮してご案内しております。留学生が巻き込まれるトラブルの多くは、盗難や交通事故です 。JSAFでは、このような事態にも迅速な対応を取れるよう、現地滞在中も、緊急時を除き、月2回の定期連絡を行なっており、その内容の中に安全管理の項目や旅レジの登録といった危機管理情報も合わせてご案内しております。

また、JSAFでは、派遣生の皆さまにAIU保険加入だけでなく、アイラック安心サポート(24時間安心サポート)にもご加入いただいております。これは、事故や怪我、またはパスポート紛失等の緊急時に、派遣生が日本語で24時間相談できる連絡体制です。派遣生よりアイラックに連絡入りますと、JSAFにも報告が入り、万が一の際にも、『JSAF』-『AIG保険』-『24時間安心サポート』の三者間で迅速に情報の共有が出来る体制を取っております。さらに、緊急時には迅速に現地と連絡が取れるよう、私共JSAFが週末や業務時間外でも連絡可能な現地学校緊急連絡先も取りまとめております。

その7 健康面について

学業がうまくいかない、友達関係が思ったほど進まないなど、思い通りにならないことからカルチャーショックまたはホームシックになることがあります。日本ではなかった弱音を吐く、逆に強気になって話を聞かないなどさまざまな反応があります。このような場合、保護者はまずはご本人の話を聞いてあげてください。離れていることから、保護者が疑心暗鬼になり過度に心配し問題が大きくなることがあります。しかし、本人の問題解決能力が機能してすでに現地で問題が解決していることがあります。保護者の方も留学しているご本人の問題解決能力を信じて過剰な反応をしないようお願いします。

また、カルチャーショックは、今までの海外経験や語学力に関係なく、どんな学生でも体験するものです。反応はひとそれぞれですが、すぐに疲れを感じる、ホームシック、睡眠不足、食欲不振、英語を話したくない、といった形で表れる症状です。しかし、異文化で生活する以上、ストレスや戸惑いを感じることは当たり前のことであり、むしろ「カルチャーショックを経験するということは、その国の文化を理解し適応しようとしている証である」(異文化研究家 Peter Adler氏)とも言われています。さらに、この落ち込み状態は、必ずある一定の時期に回復します。だれにでも起こる、必ず乗り越えられる、ということを念頭に置いておくことが必要です。

ただし、ホームシックで体調を壊すこともありますので、心配な場合はJSAFまでご相談ください。現状をお調べし、適切なアドバイスをさせていただきます。