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イギリス留学
英国を知る
英国の正式名称は、「United Kingdom of Great Britain and Northern Ireland」で、イングランド・スコットランド・ウェールズ・北アイルランドの連合国家です。英国はヨーロッパ大陸とドーバー海峡をはさんだ大西洋に位置し、北海道よりも北に位置していますが、メキシコ湾海流の影響により気候は温暖です。人口は約5900万人です。日本との時差はマイナス9時間で、サマータイム期間(3月最終日曜日から10月最終日曜日まで)ではマイナス8時間です(国内時差はありません)。英国の国民性は、伝統を重んじる保守的な面と音楽やアートに代表される斬新性と独自性の二面性を持ち合わせています。一般的に、英国の英語とは英国南部で話されている言葉をさします。他の地域で使われる語彙やアクセントは南部とは異なります。
英国の教育制度と高等教育制度
英国では、5~16歳までの11年間が義務教育期間と定められており、5~11歳までの初等教育(Primary Education)と11~16歳までの中等教育(Secondary Education)に分かれています(スコットランドでは中等教育は12歳から)。中等教育を修了する16歳で、統一試験「GCSE (General Certificate of Secondary Education)」を受験します。一般的には10科目を受験し、A~Gまでの評価が合格となります。16歳までの義務教育が修了すると、就職する、職業教育課程に進学する、そして大学などの高等教育機関に進学するための「GCE-Aレベル(General Certificate of Education, Advanced Level)」受験課程と、進路が異なります。「GCE-Aレベル」は科目別試験で、個人の能力や専攻希望にあわせて中等教育の上級課程(6th Form College)、チュートリアルカレッジ(Tutorial College)などで、通常2年間の勉強をして受験しますが、初年度は「GCE-ASレベル(General Certificate of Education, Advanced Subsidiary Level)」から4~5科目を選択して勉強することになります。2年目はこの4~5科目からさらに3~4科目を選び、A~Eまでの評価を受けることになります。Aレベル受験後、18歳で大学に入学し、通常3年間で学士課程を修了します(スコットランドでは17歳でHigher Gradeを受験した後に大学へ入学し、4年間で学士を取得します)。
英国高等教育の歴史
英国の高等教育制度において『大学』とは、学士・修士・博士課程などの学位を授与する目的で、アカデミックな専門分野を教育・研究する教育機関を指します。従来は「大学基金委員会」を通して運営され、国からは独立した高等教育機関46大学をユニバーシティとしていましたが、1992年の教育制度改革によって職業訓練大学のポリテクニックカレッジなどが大学に昇格し、現在100校近くのユニバーシティがあります。それぞれの創立背景によって5つの分類に分かれます。 1849年より英国内のすべての高等教育機関は、教師及び教育課程がユニバーシティオブロンドンによって承認及び同等学位であることを条件に、適格であるとされました。いくつかの歴史ある大学は「ユニバーシティ・カレッジ」と称されるようになりました。ブリストル大学はこの時代に設立されましたし(1876年)、現ロンドン大学クィーンメアリーは、1915年にユニバーシティオブロンドンに組み込まれました。 1960年代初頭には、国民のより多くの大学教育の場を求める声に応じて、イースト・アングリア大学、ニューキャッスル大学などが設立されました。これらの大学は郊外に広々としたキャンパスを有し、最新の設備を備え、伝統的な学問と現代的な学問の融和をめざし、より独自性を持った大学作りをしています。
Ancient University: 11~15世紀に設立された大学で、オックスフォード大学、ケンブリッジ大学、スコットランドのエディンバラ大学などがこれに分類されます。
Old University: 18~19世紀に設立された大学やもともと「大学」として、都市部に設立された総合大学で、ロンドン大学、ブリストル大学、マンチェスター大学、リーズ大学などがこれに分類されます。
Campus University: 1960年代に都市郊外に建てられた総合大学で、イースト・アングリア大学、ニューキャッスル大学、 エセックス大学、ケント大学、ヨーク大学などがこれに分類されます。
New University: 1992年以降ポリテクニックから昇格した新制大学で、オックスフォード・ブルックス大学、ポーツマス大学、ブライトン大学などがこの分類です。
Specialist University: アート&デザインなど専門分野のみを学ぶことができる専門大学です。
大学での学位
英国では、大学での学士号は通常3年間という期間内に、かなり狭い範囲に限定された専攻を学習することにより授与されます。言語学や専門的な専攻の場合には4年間かかる場合もあり、最終学年の前の3年目に海外での学習や実践的な経験を積むことができる研修が含まれていることがあります。 スコットランドでは、英国内の他の地域よりも若い年齢で大学に入学します。これは大学入学準備システムが異なっているためで、スコットランドの学生はイングランドの学生に比べて専門的な準備学習期間が少なくなっています。また2学年が終了するまで専攻を決めることがありません。この時点で、大半の学生は、残りの2年間で自分の専攻する分野を学ぶか、あと1年間の履修で取得可能な3年間の学位取得を目指します。「オーディナリー学位」は3年間、「オーナー学位」は4年間の履修が求められます。
1学年間の学部留学について
英国では、アメリカ人学生を中心に1学年間の大学学部への受入れを積極的にしています。大学で他の学生と一緒に講義やセミナーに参加して成績と単位を取得することができます。授業内容や評価は日本やアメリカの大学に比べて異なる点があります。
学業レベルについて
英国の学生は、大学入学前に集中的な準備をしているだけに、1年目のコースはアメリカや日本での大学2学年レベルに相当する場合が多くみられ、特に科学・数学・言語学などにおいては顕著となっています。すなわち、2学年コースの履修の場合は、アメリカや日本での大学3学年レベルと同等です。通常3学年(最終年)のコースは、その分野において知識を持つ学生のみ受講可能になります。
大学への出願
大学への出願は、学生が望む特定の学位(資格)教科課程への出願となります。英国の大学への入学は、教育の直接提供者である学部の判断に委ねられており、米国の大学のように、まず入学が許可されて卒業までに必要な単位数を履修していくシステムではありません。 卒業を目的としていないビジティングスチューデントの場合も、基本的には学部が出願書類を検討し入学を許可するということになります。近年いくつかの大学では、ビジティングスチューデントに対して複数の学部での履修が認められています。ただし、スケジュール上無理がある場合や、履修に必要な条件や資格が満たされていない場合は制限があります。現実的には2つまでの学部での勉強に集中すべきです。またスコットランドでは、他の英国地域の大学よりも卒業目的でないビジティングスチューデントには柔軟で、「オーディナリー学位」や「オーナー学位」を選択する必要はなく、基本的に学部選考により学部への入学が許可されますが、通常のコース規定に従う必要はなく、適切な条件と資格を持っていれば異なるレベルのコースをミックスして受講することも可能です。学部から許可があれば、他の学部から1科目選択することも可能です。
学業で期待されること
英国の高等教育システムでは、日本やアメリカの大学と比べて、シラバスが明確に示されていません。 例えばアメリカの大学では、担当教授から詳細なクラススケジュール、課題図書、各種テスト、小論文、中間及び期末テストの予定が渡されますが、英国の大学では講義形式を中心に各学生が自ら履修科目を調査・研究(Independent Study)していくことに主眼がおかれています。英国では大学内でも学部によってコース内容や教授方法が違うことがしばしばあります。学生は講義への出席、討論、指導教官との研究、セミナー、実践クラスへの参加、相当な量の読書(特に指定されていない)や小論文などを各自でこなすことが期待されます。個々の学習によって、広い視点で教科をカバーする一方、講義と研究が最も重要視されます。 教授は、学生が常に幅広い分野の読書を各自でこなしているとみなし、そこから得た知識によって討論のための優れた小論文が作成でき、かつディスカッションに貢献でき、さらに期末試験において筆記試験で教科への理解を示すことを期待します。 大学では次の指導方法が実施されています。
講義形式:大勢の学生を対象としてのレクチャー授業
セミナー:少人数のグループで構成され、担当教授は様々な角度から授業を進めていきます。
個人指導:1人又は2人の学生に対して個別指導教官がつき指導します。 成績は指導方法や履修内容によって評価対象が異なりますが、一般的に次の項目において評価されます。
筆記試験:学年末又は最終学年のみ実施される場合もあります。
小論文、セミナーでの成績、学年末筆記試験の組み合わせ
口頭評価:セミナーと個別指導で、学生が口頭発表した内容に対しての評価
上記の総合評価:参加者は学位取得を目指している学生と同じ量の学習を同じレベルでこなしていかなければなりません。パス/フェイル(可/不可)評価は認められていません
大学カレンダー
英国では、以前は7~10週間のクォーター制、1学年間を3つの学期で構成していましたが、現在は多くの大学でセメスター制を導入しています。秋学期は一般的に9月下旬から始まり、12月中旬に終わります。春学期は1月初旬又は中旬に始まり、3月下旬又は4月上旬に終了します。5月から6月にかけては試験期間が設けられています。秋学期のみ、又は3月下旬で帰国する場合は、大学側で特別に試験をして成績がつけられます。すべての大学は1学年間を受講することを奨励しています。参加者の英語レベルや日本の学期制度にあわせて、5月(6月又は7月)から8月までは英語研修を受講したうえ、秋学期を大学の学部生として受講することもできます。夏の4週間に英語研修とオリエンテーション参加を義務付けている大学もあります。
学生生活
英国学部留学の特色は、大学生活が重要視されていることです。実際に参加者は、受入大学の課外活動に参加する機会があります。大学の自治会の一員として、演奏会、演劇、スポーツ、社会活動にわたるまで幅の広い活動を体験できます。同時に全国学生連合(National Union Students)の会員になり、NUSが実施している割引制度を利用して、食品から劇場チケットまであらゆるものを学割価格で購入することができます。ユニオンは、学生新聞発行、ラジオ局運営、バーや食堂、社交やレクリエーションのための施設、コンサート、競技会、討論会、展覧会、映画、フェスティバルなどの企画・運営をしています。また、学生生活を通して大学の学生や海外からの留学生(特にアメリカ人学生)と交流が楽しめます。参加者は、大学内の寮に滞在することができます。寮に住むことで英国での学生生活は印象深いすばらしい体験と思い出となるでしょうし、寮友は人生を通じての最良の友となり、留学経験を成功させる重要なものとなるでしょう。